今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント
妊婦の性器ウイルス感染症─性器ヘルペスと尖圭コンジローマ
川名 尚
1
1帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
pp.956-967
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208532
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●性器に感染するウイルスのなかで,問題となるのは性器ヘルペスと尖圭コンジローマである.これらの母子感染の経路は産道感染であるので感染予防法として帝王切開が考えられるが,分娩様式の選択に際し母子感染の頻度とそのリスク因子を考慮することが大切である.
●経腟分娩時の性器ヘルペス合併では,初発は約50%に,再発では2%以下に新生児ヘルペスが発症する.分娩時に外陰に病変がある場合や,病変は消失していても初発では発症後1か月以内,再発では発症後1週以内での分娩様式は帝王切開が推奨される.
●尖圭コンジローマ合併の妊娠では,経腟分娩により出生したうちの0.7%に難治性の若年性再発性呼吸器乳頭症(JORRP)が発症すると報告されている.帝王切開分娩による母子感染予防効果は確立していないが,分娩障害になるような巨大なものや,大出血のおそれのある腟や子宮頸部に広汎に病変がある場合は帝王切開がよいであろう.腟や子宮頸部に病変がある場合は母子感染のリスクが高いので,妊娠後半期にレーザー蒸散,凍結療法,電気焼灼などにより治療した後,病変が消失している場合は経腟分娩も考慮できる.
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