検査の昔ばなし
細胞診,組織診の思い出
石川 正臣
1,2
1日本医大産婦人科
2日本医大老人病研究所
pp.202-203
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201013
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近年臨床検査の技術が著しい進歩を示し,これを活用することによって疾患や異常があるかないかが明らかとなり,あるいは的確な診断が決定したり,治療の方法が適正となったり,あるいは癌のような危険な病気でもこれを早期に発見して治療を加えて全治せしめることも可能となっていることを誠に喜ばしく思うものである.
私は大正5年(1916)に東京大学を卒業し,まず産婦人科教室で,後では病理学教室で勉強させていただいた.産婦人科教室での当時の臨床検査というものは極めて簡単なものであり,尿についての検査が主たるものであり,血液については貧血が著明であるとか,なにか特別の理由がある場合に上司の許しを得たものに限って採血が行われたに過ぎない.しかし今から考えてみても進んでいたと思われるのは診査掻爬とか診査切除を行って病理組織学的の検査をすることであった.
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