症例
非交通性副角子宮と同側卵巣内膜症性囊胞および卵管留血腫に対する腹腔鏡下手術後に妊娠に至った1例
吉岡 信也
1
,
池田 亜貴子
2
,
松尾 愛理
2
,
河原 俊介
2
,
安堂 有希子
2
,
川島 直逸
2
,
三木 通保
3
1神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科
2大阪赤十字病院産婦人科
3天理よろず相談所病院産婦人科
pp.585-591
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208443
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要約
副角子宮は,子宮留血腫や卵管留血腫の形成に伴って月経困難症や下腹部痛を生じさせ,同部位に妊娠した場合には副角子宮破裂が問題となる稀な子宮奇形である.症例は26歳,1経妊1経産.下腹部痛を主訴に前医を受診し,左卵巣囊腫を認め,当院に紹介受診となった.骨盤MRIで,左卵巣内膜症性囊胞と左卵管血腫および右単角子宮とそれに交通しない左副角子宮と診断し,腹腔鏡下手術を行った.腹腔内所見は術前診断と同様で,左卵巣囊腫摘出術・左副角子宮切除・左卵管切除・子宮内膜症病巣焼灼術を施行した.病理検査では副角子宮内に子宮内膜組織が確認できた.術後下腹部痛は消失し,その後自然妊娠に至った.妊娠38週で予定帝王切開を行ったが,副角子宮切除部位に癒着や筋層の菲薄化は認めなかった.副角子宮に合併した卵管留血腫および卵巣内膜症性囊胞の症例に対して,MRIで術前診断を行うことができ,腹腔鏡下手術がその治療に有用であった.
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