症例
卵巣原発悪性リンパ腫の1症例
八木 一暢
1
,
田村 一富
2
,
山本 啓司
2
,
山本 彰
2
,
山本 久美夫
2
,
山片 重房
2
1石井記念愛染園愛染橋病院産婦人科
2石切生喜病院婦人科
pp.259-263
発行日 2015年3月10日
Published Date 2015/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208224
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要約
症例は69歳で,腹痛で当院消化器内科を受診された.腹部超音波検査で骨盤内腫瘤を認め,当科紹介となった.MRI・PET-CTで,右卵巣に充実性腫瘍を認め,卵巣癌疑いで試験開腹術を施行した.右卵巣腫瘍は5 cm大で,播種性病変はなく,腹水を認めなかった.術後の病理組織診断において腫瘍はN/C比の高い異型性の大型リンパ球がびまん性に増殖し,starry-sky像を認めた.免疫組織染色では,CD3・CD5は陰性,CD20・CD79aは陽性で,びまん性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫と診断された.可溶性IL-2受容体は正常値であり,骨髄穿刺で異常細胞を認めなかった.病期分類としては,悪性リンパ腫の病期分類Ann-ArborではIAE,卵巣癌の国際臨床進行期分類ではIa期の早期症例であった.リツキシマブを含む化学療法を行うもアレルギー症状のため早期中止となり,結果的に追加の治療を行わず,経過観察となった.術後18か月経過した現在まで再発所見を認めていない.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.