症例
激痛をきたした子宮筋腫茎捻転の2症例
甲斐沼 孟
1
,
田村 一富
1
,
山本 啓司
1
,
山本 久美夫
1
,
山本 彰
1
,
山片 重房
1
1石切生喜病院婦人科
pp.289-293
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101988
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今回われわれは,激痛を主訴とする子宮筋腫茎捻転の2例を経験したので報告する.〔症例1〕は29歳,1経妊・未経産,MRI検査にて境界が明瞭で,辺縁整の12×9.5cmの腫瘍を認め,待機的手術の結果,180度茎捻転した漿膜下子宮筋腫と診断した.〔症例2〕は30歳,未経妊・未経産,入院時の腹部CTにて子宮前方に9×8cmの腫瘍を認め,同日,緊急開腹術を施行し,360度茎捻転を起こした有茎性子宮筋腫と診断した.子宮筋腫茎捻転は子宮筋腫手術例の0.1~0.5%の頻度で認められ,漿膜下筋腫と粘膜下筋腫,それも有茎性の場合にのみ起こりえる特殊な病態である.子宮筋腫そのものは炎症所見に乏しく,臨床症状も軽度のことが多いが,茎捻転を起こすとショックになる場合もある.卵巣固形腫瘍と子宮筋腫の茎捻転の鑑別は時に困難な場合があり,激痛を伴った骨盤内固形腫瘍の場合,子宮筋腫茎捻転も念頭に置くべき疾患であると考えられた.
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