境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科と眼—専門医にきく
クラミジア感染と結膜炎
金子 行子
1
Michiko Kaneko
1
1至誠会第2病院眼科
pp.643-646
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208161
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STD (Sexually Transmitted Diseases:性行為感染症)の病原体として近年産婦人科,泌尿器科領域で注目されているクラミジア感染症は,眼科では戦前戦後にかけて失明に至る難治性の結膜炎「トラコーマ」として最も重要な疾患の1つであった。テトラサイクリン系抗生物質等の普及と衛生環境の整備によりわが国をはじめ欧米諸国の眼科からは姿を消したものと思われていた。しかし約10年程前より新鮮なクラミジア眼症すなわち封入体性結膜炎(inclusion body conjunctivitis)の増加傾向がみられている。「トラコーマ」が眼から眼へと重複感染を繰り返すうら慢性変化した1病型とされているならば,封入体性結膜炎はoculo-genital diseaseとしてクラミジア本来の病態を示している。それ故に眼科と産婦人科間の理解と双方の密な連絡が必要とされる。
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