臨床研修セミナー 未熟児プライマリケア
分娩室内官理とイニシアルケア
柴田 隆
1
Takashi Shibata
1
1順天堂大学医学部付属順天堂伊豆長岡病院新生児センター
pp.876-881
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208071
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保温・栄養・感染予防を三大原則として,児のエネルギー消費を最小限に保ちながら,その生命予後に期待をして開始された未熟児のケアーは,大きく変貌した。すなわち,呼吸管理,循環管理を中心とする集中治療,未熟児,新生児医療の地域化,PSFの臨床応用等々により,その生命予後の限界は,胎齢20〜22週ともいわれるようになり,出生体重500g未満の超・超未熟児といえども救命可能となってきた。さらには,これらの救命された超・極小未熟児の後障害発生の頻度も大きく改善されてきているのも事実である。しかし,これらの超・極小未熟児の救命には,出生前からの管理を含めて全ての養護に最大限の努力と細心の注意が必要であること,また,満期産成熟児との比較においてその後障害発生の頻度は高率であることは,誰しもが認めることでもある。基本的に重要なことは,未熟児の出生後の養護をどのように行うかではなく,その出生をいかにして防止するかにあると考えている。
胎児医学,産科学が数段と進歩した今日では,未熟児の出生予防が相当のところまで可能であろう。万止むを得ず出生した未熟児についてのみ出生後の養護が必要であり,このようにして出生した未熟児に対する養護には,最大限の努力を惜しまないものであることを最初に強調しておきたい。
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