臨床研修セミナー 老年期婦人疾患
婦人科医のための骨粗鬆症の知識
藤田 拓男
1
Takuo Fujita
1
1神戸大学医学部第三内科
pp.677-680
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208038
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骨粗鬆症は女性においてとくに閉経後に多く見られる疾患であり,エストロゲン欠乏の病因的意義およびエストロゲンによる治療の可能性からみて,婦人科医にとって重要な疾患である。人口の老齢化に伴って最近骨粗鬆症の患者が多く見られるようになり,老人病の中で最も多いだけでなく,人類のあらゆる疾患の中で最も頻度の高いものであるとさえいわれる。しかしながら骨粗鬆症の診断は必ずしも容易でなく,ことに正確な骨量の測定がレントゲン写真を用いて行うことは不可能であることがよく理解されていない上に,シングルフォトン,デュアルフォトン等の骨量測定装置が,まだ一般に普及していないため,骨量の減少を早い時期にとらえて有効に治療することが困難であり,骨折をおこして初めて骨粗鬆症の存在を認識するという悲しむべき現状にある。
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