薬の臨床
トフィソパムと産婦人科心身症関連疾患
郷久 鉞二
1
,
佐野 敬夫
1
,
和田 生穂
1
,
斉藤 学
1
,
大林 良
1
,
橋本 正淑
1
Etsuji Satohisa
1
1札幌医科大学産婦人科学講座
pp.605-610
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208025
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トフィソパムはベンゾジアゼピン系の薬剤でありながら自律神経機能の改善に効果がみられる。そこで主に心身症領域で使用される本薬剤についてまとめてみた。
1)最近5年間(昭和59〜63年)に当科心身症外来で本剤を投薬した56例は更年期障害33例,自律神経失調症12例,術後不定愁訴4例,その他7例で,他の薬剤に比べ自律神経失調症に対し使用頻度が高かった。
2)当科心身症外来で行われている面接を主体にした4つの病型分類(心身症型,神経症型,うつ型,身体型)では,他の薬剤と異なり全ての病型に平均して使用されていた。
3)症状の種類はのぼせ,不眠,発汗,腰痛が上位を占め,他の薬剤での症状と比べ下腹痛,頭痛以外はほぼ同様の症状であった。
4)十分な面接治療を行う前に本剤のみで症状が改善される症例が心身症型,神経症型,身体型のいずれにもみられた。
5)昭和51〜60年までの更年期障害患者に単独で使用した場合の更年期障害指数(K指数)は,K指数全体でも,血管運動神経症状,精神症状でも有意に減少した。
6)本剤の4週間投与前後でE2,FSH,LH値に有意な変動はみられなかった。
7)病型分類での効果は4つのどの型においても効果がみられたが,ホルモン剤に比べて心身症型,神経症型に効果が大きかった。
8)二重盲検法でプラセボーと比較して有意に本剤の方が効果が高く,特に心身症型,神経症型に効果が高かった。
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