臨床研修セミナー 子宮外妊娠
卵管妊娠における卵管保存療法
藤本 征一郎
1
,
田中 俊誠
1
,
岩崎 寛治
2
Seiichiro Fujimoto
1
,
Toshinobu Tanaka
1
,
Kanji Iwasaki
2
1北海道大学医学部産婦人科学教室
2聖母会天使病院産婦人科
pp.575-586
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208021
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卵管妊娠に対する治療法は,1)患者の希望,2)着床の部位,3)医師の診断・治療技術,4)体外受精・胚移植法(IVF・ET)による妊娠の可能性の有無,等を考慮して決定される。1888年にイギリスのTait1)が卵管妊娠に対する卵管摘除例を最初に報告して以来,卵管妊娠に対しては主に着床部位の除去もしくは摘除,すなわち卵管切(摘)除術(場合によっては卵巣卵管摘除術)が根治療法として行われてきた。しかし,それらの手術は一側卵管が既に除摘されていて挙児を希望する卵管妊娠婦人,および健常卵管を他側に有している挙児希望の卵管妊娠婦人に,それぞれ永久不妊,術後の癒着などによる妊孕能の低下をもたらす。
野口ら2)は卵管妊娠に対する根治手術後に高率(30%)に続発不妊となることを報告している。このため,挙児希望の卵管妊娠婦人に対しては種々の卵管保存療法が試みられている。
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