特集 産科DIC
病因と病態
重症妊娠中毒症
古橋 信晃
1
,
辻永 真志
1
Nobuaki Furuhashi
1
,
Masashi Tsujiei
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.729-733
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠中毒症による母体死亡は激減してはいるが,いまだ出血死に次ぐ母体死亡原因となっており,その直接的な死因はDICと脳出血であったと報告1)されている。最近の妊娠中毒症の病態論のなかで,妊娠そのものが過凝固状態にあり,妊娠中毒症ではさらにすすんで,慢性DICまたはDIC準備状態であるとの考え方が普遍的になりつつある。
本稿では重症妊娠中毒症におけるDICの発症機序,妊娠中毒症を合併する頻度が50〜60%と高く,かつ産科的DICの主因である常位胎盤早期剥離(以下早剥と略)におけるDIC発症機序などについても考察を加え,さらに妊娠中毒症を慢性DICとしてとらえた場合の管理法などについて言及する。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.