生涯研修セミナー 前期破水
薬物療法
千村 哲朗
1
Tetsuro Chimura
1
1山形大学医学部産科婦人科教室
pp.171-174
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207739
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Preterm PROMの薬物療法は,その発生原因と治療開始時の臨床条件により異なる。過去10年間におけるpreterm PROMの管理は,発症週数・胎児肺成熟度の要因により保存的療法か積極的分娩誘導方針かが決定されてきたが,NICUの向上した今日においては在胎32週以降の未熟児の生存率は上昇し,臨床的に問題となるのは妊娠28週前のPROMである。基本的には,この期間での胎児肺成熟度は不完全であるため保存的療法によるintact survivalを目的とした妊娠維持が一般的である。
しかし,基本的方針は理解できても実際の管理にあたっては,臨床的に多くの問題点が存在し,薬物療法の実施にあたっても確立された基準がないのも現状といえる。こうした背景において,従来その薬物療法の主体は,子宮収縮抑制剤tocolyticsと副腎皮質ホルモンcorticosteroidesによる肺成熟化作用の有用性が論じられてきたが,感染に対する抗生物質療法antibioticsの問題は論外におかれてきた傾向がある。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.