今月の臨床 外来でみる感染症
診断法の進歩
11.嫌気培養法—嫌気ポーター
千村 哲朗
1
Tetsuro Chimura
1
1山形大学医学部産婦人科
pp.922-924
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900512
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産婦人科領域の感染症の起炎菌の動向は,常用抗生物質の抗菌スペクトラムと抗菌力の影響を多分に受け,グラム陰性桿菌や嫌気性菌とくにBacteroidesとの混合感染などによる骨盤内感染の頻度が高くなっている。感染症の特徴をその分離菌の傾向からみると,E.coliを主体としたグラム陰性桿菌または嫌気性菌の重要性が指摘されるし(図1),周産期感染症でも,無破水状態での羊水中で羊水穿刺による成績でも,切迫早産例でグラム陰性桿菌(15.3%),嫌気性菌(47.4%),グラム陽性球菌(19.3%)が検出されている(図1)。
嫌気性菌の検出率の向上は,嫌気性菌輸送容器・培地の進歩と検査法の確立に負うところが多いといえるが,ここでは嫌気性菌の検出における輸送容器について述べる。
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