境界領域の再評価とその展開 特集
脳・内分泌腺の手術と産婦人科
進行乳癌の内分泌外科的対応
中尾 量保
1
,
青野 豊一
1
,
宮田 正彦
1
Kazuyasu Nakao
1
1大阪大学医学部第1外科教室
pp.457-460
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207616
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乳癌は内分泌臓器ではないが,乳腺の発達には多くのホルモンが関与し,性ホルモンのみならず副腎皮質ホルモンや下垂体ホルモンの重要な標的臓器の一つである。したがって,乳腺より発生する乳癌に対してホルモン依存性を利用した内分泌療法が奏効することが考えられ,古くより種々の方法が試行されたのち,現在では化学療法とともに進行・再発乳癌の基本的治療法の一つとなっている。すなわち,すでに19世紀末に行われた卵巣摘出術に始まり,その後の副腎摘出術,下垂体摘出術などの外科的内分泌療法の発達をへて,現在では抗エストロゲン剤を中心とした内科的内分泌療法が主流となり,化学療法と組み合わせた化学内分泌療法として広く施行されるに至っている。また,内分泌療法の有効性を予知するためには組織におけるホルモンレセプター,とくにエストロゲンレセプターの検索が重要であり,その有無により内分泌療法の選択が決定されている。以下に乳癌に対する内分泌療法の変遷を振り返りつつ現在の治療の現況ならびに将来の展望について述べてみたい。
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