綜説
子宮頸癌に於ける骨盤内リンパ節の態度
高木 聰一郞
1
1長崎大學醫學部産科婦人科教室
pp.301-305
発行日 1950年8月10日
Published Date 1950/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200370
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1.女性骨盤内リンパ系統
元來リンパは造血液成分の樞要器管であるのみならず體内に侵入する有毒物賃への保護器管である故婦人科方面に於いては炎症にせよ,惡性腫瘍にせよそれに對し演ずる臨床的役割は亦大きなものである.例えば近年著るしく進歩改善された子宮廣汎性剔除術も癌原發巣と共にその癌細胞の傳播系路の關所を形成し轉移の好發する限劃リンパ節を完全に摘出することによつてのみその完きを得るのである.所謂限劃リンパ節は局部或は一定の器管に從屬區劃されているので通常解剖學的の區劃に相當して存在するのが常である.然し乍ら此の見解も一律には認めることは出來ず,解剖學的關係と實際的手技遂行面に於いては一致しない點が多々出て來るものであることは吾々臨床家が常々當面する事柄である.
故に古來此等の骨盤内リンパ系統については數多の業績があるが,各々その述べている所も大綱に於いては一致するが,部分的には種々異なる所も多いようである。以下諸家の業績の一端を簡單に紹介したい.
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