臨床医のプライマリ・ケア 産婦人科プライマリ・ケアの背景
性周期(内分泌異常の背景にあるもの)
岡村 均
1
,
東條 伸平
1
Hitoshi Okamura
1
,
Shimpei Tojo
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.739-743
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206696
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婦人を診療の対象とする際には,単に婦人科学領域においてのみならず,他科を受診するケースについても,絶えずその特異な内分泌環境すなわち卵巣機能を中心としてこれを調節あるいは修飾する多様な生殖に関与する因子ないし現象を考慮することが大切である。その最も良い例が古来からいわれている「女性を診たら妊娠と思え」であり,さらに最近ではこれに「肥満女性を診れば内膜癌を疑え」といったような表現も加わろう。このように特定の内分泌環境は各種の婦人科的器質性疾患の基礎条件を形成しているといえるし,他疾患の病像は,常に性周期の時期,あるいは妊娠の時期の如何によってさまざまな修飾をうけている。個の疾患であっても,それは必ず基底にある生殖生理あるいは病理の如何によって,同一疾患であっても,病像はかなり異なってくるものである。本稿ではまず,排卵周期すなわち視床下部—下垂体—卵巣系の生理とこれらに異常をもたらす原因についてのべ,さらに思春期と閉経期にみられるこの系の特性についてのべるとともに,性周期が他領域の疾患の病像にどのような修飾をあたえるかについて考えてみる。
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