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境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科心身症
女性にみられる問題行動
神経性食思不振症
Anorexia Nervosa
野添 新一
1
Shinichi Nozoe
1
1鹿児島大学医学部第一内科学教室
pp.321-324
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207588
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Anorexia Nervosaは主に思春期の女性に多発する疾患で,近年増加しつつあると推測されている。本症の発症機転には,現代の社会や家庭における問題が深く関わり合っており,現代の病理が集約している疾患の1つともいえる5)。
本症は病態の特異性から診断・治療が的確になされ難く慢性の経過をとりやすい。疫学的に見ると,患者の6%から10%に死亡例があり,その他に正常な生理学的能力(生殖能力)と社会的能力(働いたり恋をする能力)の発達や健康が,慢性的に損なわれる1)例が10%余りに見られる。患者が自ら身体のこと(多くは無月経)を心配して,また家族の説得を聞き入れて病院をはじめて受診するのは婦人科や一般内科であり,心療内科や精神科へはかなり進行してからが多い。もし的確な診断と治療がなされないまま一定期間を過ぎると,慢性栄養不良状態による身体的・精神的異常を招き,心身交互作用による悪循環が形成される。
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