症例
尿道憩室合併妊娠の1例
東矢 俊光
1
,
松井 和夫
1
,
藤崎 俊一
1
,
岡村 均
1
Toshimitsu Tohya
1
1熊本大学医学部産科婦人科教室
pp.279-283
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904846
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今回,妊娠分娩に合併した尿道憩室の症例を経験したので報告する。症例は,25歳で,妊娠16週3日に腟部の痛みが出現し,某産婦人科にて腟前壁の柔らかい腫瘤を指摘され,泌尿器科を紹介受診し尿道憩室や傍尿道嚢腫などを疑われていた。妊娠37週6日頃より腫瘤の増大と痛みが強くなったため,分娩目的にて当科紹介入院となり妊娠39週0日に2,970gの男児を経腟分娩した。産褥45日目に再入院し,ダブルバルーンカテーテルによる尿道の高圧造影を施行し尿道憩室の診断を得た。経腟的に尿道憩室摘除術を施行し,組織検査の結果,悪性所見はなかった。本症の妊娠および分娩時の取り扱いについては,症例数も少なく一般的な見解はないのが現状である。本稿では尿道憩室合併妊娠分娩について考察を加えた。
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