臨床医のプライマリ・ケア オンコロジー
Primary physician for women
甲状腺の癌
藤本 吉秀
1
Yoshihide Fujimoto
1
1東京女子医科大学内分泌外科
pp.538-540
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206650
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1.甲状腺癌は予想外に多い
丸地1)が長野県全域を集団検診したときに,甲状腺癌を有するものが1,000人あたり1.3人もみつかった。男女別にみると男では1,000人あたり0.6人,女はその3倍の1.9人であった。30歳以上の女では300人に1人の割合でみつかり,有病率は胃癌に匹敵する高さであった。その後別の地域でも甲状腺の集団検診が行なわれ,やはり高率に甲状腺癌が発見されており,日本全域に共通の現象とみなされるにいたった。
ついでながら,集団検診で発見された他の甲状腺疾患を女性に限って記すと,1,000人あたり単純性びまん性甲状腺腫33人,単純性結節性甲状腺腫14人,橋本病3人,バセドウ病1人で,全部で54人が何らかの甲状腺疾患をもっていたことになる。これらはすべて触診により甲状腺腫が触れ,それから検査により病態が判明したものである。
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