先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
感染症とその化学療法
産科における感染症の化学療法と胎児への影響
柳沼 忞
1
Tsutomu Yaginuma
1
1東京大学医学部附属病院分院産婦人科
pp.443-445
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207402
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一般に,どんな場合にも治療による利益がそれから生ずる危険をうわまわらないならば,この治療は行われない。妊婦の場合には,妊婦自身ともう一人の人間である胎児が共存するために,その危険の範囲と程度はさらに大きくなる。
したがって,妊娠中の治療の範囲は厳密に決定される。治療の範囲とは,疾患の重篤さの程度と投与される薬物の種類とその投与量である。治療されねばならない重篤な疾患とは,疾患による母体の状態が胎児に悪影響を及ぼしているか及ぼす可能性がある場合のものである。たとえば,咳が頻繁に出てその度に腹痛が生ずるという場合もこれである。このような時には,胎児に害がないとされている鎮咳剤の有効最少量で治療する。
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