先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
未熟児管理の進歩
肺低形成—その要因と産科管理への提言
小山 典久
1
,
小川 雄之亮
1
Norihisa Koyama
1
,
Yunosuke Ogawa
1
1埼玉医科大学総合医療センター小児科
pp.117-120
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207329
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従来,肺低形成は種々の奇形症候群の直接の死亡原因の一つとして理解されてきた。しかし近年,長期間にわたる羊水流出を伴う前期破水の後に出生した児の一部に,他の内臓奇形を伴わない肺低形成の報告があいついでいる1〜11)。これらの例では羊水の流出に続発する羊水過少が肺の発育および成熟に悪影響を及ぼしていると考えられている。肺低形成を認めた児はしばしば重度の呼吸障害をきたし,その予後は不良である。抗生剤,陣痛抑制剤を用いた産科管理技術の向上により,児の生育限界に近い早期の破水例においても,未熟児出生の点でかなりの成果がみられている。しかし一方,一部の例で肺低形成をはじめ種々の新しい問題が生じており,その対策が急がれる。
本稿では今日特に臨床上問題となっている長期羊水流出に伴う肺低形成について,その要因ならびに対策を中心に最近の知見を述べる。
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