ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 先天異常--最近の診断と管理
遺伝相談--私はこうしている
保健衛生の立場から
片野 隆司
1
Takashi Katano
1
1広島市児童総合相談センター
pp.956-957
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207299
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遺伝相談に関する議論は,今までにも何度か繰り返されてきた。それにもかかわらず,それぞれの立場によって話題がむしかえされるのも,医療の体系からは特別のものと見られているからであろう。また,カウンセリングが論理的に事を運ぶのを目的にしながらも,クライアントの立場や状況によって結論が異なる場合もあるという流動的性格から,ますます理解しにくいものになっていると思われる。医師は科学的基盤の上で仕事をするものであり,特定の科をのぞけばカウンセリングになじみにくいばかりでなく,報告にもみられるように医師という立場もそれを困難にするようである。
医療の実施機関を,治療や研究に直接たずさわるといった狭い意味に解釈すれば,衛生や民生といった行政分野は,疾病の予防や福祉を中心とする広い領域をサービスしていることになる。そうした立場から見た遺伝相談に,はたして医療機関で行われているものと異なる点があるのだろうか。そうした疑問に答えるために,遺伝相談ではナンセンスコールと呼ばれているものを例にして,私見を述べてみたい。
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