ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 先天異常--最近の診断と管理
遺伝相談--私はこうしている
公衆衛生・保健学の立場から
日暮 眞
1
Makoto Higurashi
1
1山梨医科大学保健学II教室
pp.954-955
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207298
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I.遺伝相談のあり方
遺伝相談の定義にはいろいろあるようであるが,1972年米国のNational Genetics FoundationのWorkshopで採用されたものとして,「家族内に遺伝性疾患が発症したり,あるいは発症するリスクにかかわる問題で,カウンセラーとクライアント(遺伝相談に訪ねる人)とがやりとりをする過程」という定義がある。もちろん,遺伝相談の場ではクライアントやその家族を助けるべく特別な訓練をうけた種々の専門家の手により,診断・病因検索,家系分析,危険率の推定,リスクへの対処法の工夫などがなされるわけである。
遺伝相談の歴史をふり返ってみると,先天性聾唖や白子症などの遺伝予後判定のサービスなどを主としたgenetic hygieneがSheldonやReedらによりgeneticcounsellingに発展させられたあとをみることができる。当初の遺伝相談は,遺伝学者や医師による1対1の単独面接という形で行われてきたのである。しかし,遺伝性疾患の本態の複雑さが明らかとなり,診断技術もまた進歩してくると,単独面接によるカウンセリングのみで遺伝相談をすすめてゆくことは困難となってくる。さらに,地域医療プログラムの中で遺伝相談を考えていく際には,より一層のチームプレーが望まれてくる。
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