明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 遺伝
遺伝形式の理解
竹下 達也
1
,
日暮 眞
1
Tatsuya Takeshita
1
,
Makoto Higurashi
1
1山梨医科大学保健学II教室
pp.753-757
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207063
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1866年に発表されたメンデルの遺伝形式に関する実験報告は1900年になってやっと再発見され,今日の遺伝学進歩の礎となった。遺伝子工学的手法の進歩により多数の遺伝子座がヒト染色体上に加速度的にマッピングされつつある1)今日から振り返ると,今世紀における遺伝学の急速な発展に驚きの念を禁じ得ない。遺伝子工学は遺伝形式を理解する上でも今後重要な知見を提供してくれるに違いない。本稿では各種の遺伝形式の特徴を概観する。
遺伝病の遺伝形式は大まかに単一遺伝子性・多遺伝子性・染色体性の3型に分類されるが,ここでは前二者をとりあげる。ヒトの多くの病的遺伝子及び血液型・酵素変異体の正常遺伝子に関しては表現型を2,3種類に明瞭に分類することが可能である。このような形質の多くは突然変異を蒙った一遺伝子に起因し,またメンデルにより発見された単純な遺伝法則に従う。この単一遺伝子性形質はその遺伝子が常染色体上かX染色体上か,また優性か劣性かにより家系内での遺伝形式が異なる。一般に単一遺伝子性疾患は後述する通り比較的稀なものが多い。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.