特集 生涯教育
公衆衛生従事者からの提言
公衆衛生医の立場から
野崎 貞彦
1
1厚生省環境衛生局企画課
pp.680
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205478
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戦後の混乱期に復員船等によってもたらされた集団発生以来,約30年ぶりに発生した今回の有田市におけるコレラ患者は,100名に近い患者,保菌者を出して終息した.社会構造,人口構造等の大きな変遷により,公衆衛生活動に求められる量と質も大きく変わってきたが,新しく生じてきた公害,産業廃棄物等の問題とともに,急性伝染病の防遏のような基本的な問題についても,常に万全の注意がはらわれていなければならないことがわかる.公衆衛生従事者としては,多くの専門職種のものがチームとして仕事を進めているわけであるが,ここでは医師について述べてみる.
医師の公衆衛生活動としては,医師法第1条に規定されているように,すべての医師がこれに従事することは当然のことであるが,ここでは狭義に衛生行政に従事する医師について考えてみたい.衛生行政に従事する医師数は,絶対的にも,また増加する一方の行政需要に対して,相対的にも年々減少している現状にある.衛生行政従事医師の確保対策としては,昭和37年のいわゆる野辺地報告以後も研究討議が続けられ,いろいろな方策が国および自治体等でとられてきたが,期待される成果は得られていない.
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