ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 体外受精
体験を語る
多くの点で基礎的研究が必要
広井 正彦
1
,
斎藤 英和
1
,
佐藤 文彦
1
,
小川 哲司
1
,
金杉 浩
1
Masahiko Hiroi
1
1山形大学医学部産科婦人科学教室
pp.795
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207258
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不妊症の治療として体外受精—胚移植が臨床に応用されるに至り,われわれも昭和58年より体外受精—胚移植法を卵管性不妊症でかつマイクロサージェリーによっても卵管機能を回復できなかった症例に対して臨床応用してきました。しかし,この方法は高度の技術と設備が必要のため,いくつかの問題点がありました。当初超音波断層装置における卵胞発育のモニタリングにおいても,セクタ型は当院にも2台ありますが,心臓の機能を検査するためにも用いられるため繁用されており,患者の尿が膀胱にたまり次第われわれが随時検査するという訳にはいきませんでした。よって患者に診療時間外に来院してもらうことによって,膀胱充満時に検査することができるようになりました。
血中のエストラジオールの測定は,卵胞発育のモニターとして重要なモニターのひとつですが,これを測定するには迅速法を用いても数時間を要し,毎日1〜2本の検体のために数時間をかけるのは少人数のIVFスタッフでは無理があります。そこでわれわれは,尿中の総エストロジェンをハイエストロテックによって測定し,卵胞の発育をモニターすることにしました。これは2時間で測定結果を出すことができますし,時間補正しますと,卵胞の発育に伴って上昇し,測定方法が簡易の割によく卵胞の成熟を評価できる指標であります。
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