ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 Sexually Transmitted Diseases (STD)
皮膚科領域のSTD
新村 眞人
1
Michihito Niimura
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科
pp.627-631
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207224
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AIDSの例をひくまでもなく,STDは時代とともに大きく変遷する。皮膚科領域においても,従来性病とされてきた梅毒,淋疾,鼠径リンパ肉芽腫,軟性下疳に加えて,性器ヘルペス,尖圭コンジローム,毛虱症,陰部伝染性軟属腫などがSTDとして最近注目されている。鼠径リンパ肉芽腫と軟性下疳は激減し,とくに鼠径リンパ肉芽腫は昭和35年以降まったくみられなくなったが,一時姿を消していた顕症梅毒は昭和55年頃から再び徐々に増加しており,最近では初期硬結や2期疹の患者をみることはそれほど稀ではない。性器ヘルペス,尖圭コンジロームはこれまでにもありふれた疾患であったが,数年前の米国における大流行の影響でわが国のジャーナリズムが少々騒ぎ過ぎの感もあるが,増加しつつあることもまた事実である。成人の急性型性器ヘルペスは,これまでにはほとんどみることのなかったものであるが,ここ数年は皮膚科でもしばしばみるようになっている。梅毒,淋疾,性器ヘルペスについては別項で述べられているので,ここでは尖圭コンジローム,毛虱症,陰部伝染性軟属腫について簡単に述べることにする。
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