原著
新生児鎖骨骨折の臨床的観察—自験例212例の産科的検討
木村 好秀
1
Yoshihide Kimura
1
1埼玉医科大学産婦人科学教室
pp.575-580
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206852
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周知の通り,新生児は分娩時にさまざまな分娩外傷を受けることがある。分娩外傷は軟部組織をはじめ諸臓器,脳神経系,骨格系など広範囲に生じ,その程度も数日で自然治癒する軽症のものから,頭蓋内出血のように新生児に致命的な影響を与える重症のものまで多種多様である。
ところで分娩時に生ずる新生児の骨折のなかで,鎖骨骨折は最も頻度の高いものである。その多数例についての検討成績は内外ともに比較的少ない。著者は昭和41年,偶然に退院後の児の鎖骨骨折を経験して以来,本症に関心を抱き新生児の鎖骨部の診察をルチン化して行い,予想以上に高い発生頻度を認めている。既に著者はその成績の一部を発表しているが,今回さらに例数を重ねて212例の新生児鎖骨骨折について検討する機会を得たので報告する。
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