産婦人科医療--明日への展開 周産期適応と性差
遺伝性疾患と性差
大浜 紘三
1
,
竹中 雅昭
1
Kozo Ohama
1
,
Masaaki Takenaka
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.267-270
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206787
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ヒトの性は受精の際に決定され,X染色体を持つ精子(23,X)が受精すれば女子(46,XX)に,Y染色体を持つ精子(23,Y)が受精すれば男子(46,XY)になる。一方,遺伝性疾患は変異遣伝子を有する染色体を持った配偶子が受精することによって次代に受け継がれてゆく。そのためX染色体上に存在する遺伝子によって支配される形質の遺伝に関しては,X染色体やY染色体の組み合わせが直接関与することとなり,そのため著しい性差を伴ってくる。それゆえこのような遺伝を伴性遺伝とよぶ。
これに対し,配偶子形成過程および受精時における常染色体の動向は性染色体とは無関係であり,常染色体上に存在する遺伝子の組み合わせがどうなるかについては性の影響をまったく受けない。ところが常染色体性遺伝とされる疾患や多因子遺伝によるもの,さらにある種の染色体異常の中にも性差のあるものが知られている。したがってここではこれらの疾患も含めて遺伝性疾患と性差の問題を論じてみたい。
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