産婦人科医療--明日への展開 周産期適応と性差
防禦反応系と性差
中井 利昭
1
Toshiaki Nakai
1
1獨協医科大学臨床病理(中検)
pp.271-274
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206788
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生物は外界よりのストレスに対応して防御反応を示し,このストレスに適応,順応し,その内部環境("milieu interna")を恒常に保っている。この防御反応の概念はすでに1929年Cannonによって導入され,1935年Selyeによって展開発展されたことは周知のことであり,その後内分泌,自律神経系に関する知見の集積により,現在以下のように考えられている。ストレスに対する防禦反応としてはまずストレスは高次の脳中枢に認識され(副腎皮質系では扁桃核と脳幹網様体が促進の方に,海馬核が抑制の方に働き,ACTH分泌に関与する),これが視床下部に伝達される。視床下部よりCRF (corticotropin releasing factor)その他のreleasing hormoneが放出され,これが下垂体前葉ではACTHやその他のtrophic hormone,後葉ではバソプレシン(ADH)の放出を促す。これにより副腎皮質からコルチコイドが,甲状腺からは甲状腺ホルモンが放出される。また副腎髄質からアドレナリン,ノルアドレナリンも放出され,その他に脳中枢,視床下部よりの直接の神経刺激も加わって適応反応(adaptive reaction)が成立する。今回の主題は周産期の適応についてであるが,まず成人についての知見より概説したい。
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