産婦人科医療--明日への展開 生殖内分泌学の進歩
クリニカル・トピックス
漢方療法からのアプローチ
村田 高明
1,2
Takaaki Murata
1,2
1国立栃木病院産婦人科
2慶応義塾大学医学部
pp.217-219
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206778
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
漢方医学における内分泌機能への治療効果については,現時点ではかならずしも満足する成果は得られていない。現在迄,漢方薬の薬効成分に関する研究は進められているが,その中では標的臓器への直接的なホルモン効果を発揮する生薬は,葛根のイソフラボンに僅少のエストロゲン作用を有する他には,認められていない。本来漢方薬の投与は薬剤構成成分の複数の協調作用による全身的な反応系での内部環境の是正を,八綱や気血水の概念等の中でそれぞれの偏在を補瀉する等の随証療法によって間接的に調整していると考えられている。しかし,一面では第Ⅱ度無月経患者に漢方薬を投与し妊娠の成功している症例等も報告1,2)されており,西洋医学では説明し難い面での効果の可能性が期待される。そこで,本稿は内分泌系の内で漢方医学の応用の可能性について文献的考察と自験例を踏まえて述べてみることにする。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.