臨床医のプライマリ・ケア 産婦人科プライマリ・ケアの背景
妊産婦・周産期死亡の動向
前田 一雄
1
,
中嶌 一彦
1
Kazuo Maeda
1
,
Kazuhiko Nakajima
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.733-738
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206695
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.妊産婦死亡の動向
妊産婦死亡率は妊産婦の保健水準の指標の一つで,妊産婦死亡は,「妊娠期間及び部位に関係なく,妊娠またはその管理に関連した,あるいはそれらによって悪化したすべての原因による妊娠中または分娩後42日以内における女性の死亡をいう。ただし,不慮のまたは予期せぬ偶然の原因による死亡は除く」と定義されている。さらに昭和54年からはこの妊産婦死亡を直接産科的死亡と間接産科的死亡とに分類するようになった1)(表1)。昭和53年までの妊産婦死亡は昭和54年以降の直接産科的死亡にほぼ該当する。間接産科的死亡とは「妊娠前から存在した疾患または妊娠中に発展した疾患による死亡をいう。これら疾患は直接産科的原因によらないが妊娠の生理的作用によって悪化したと考えられる」ものである1)。
妊産婦死亡率は,一般的には,妊産婦死亡率=妊産婦死亡数/出生数(または出産数)×100,000として表わされている。ただし比率については,このほかに,出生10,000対,1,000対の比率も使用されるので注意が必要である。また「疾病,傷害および死因統計分類提要」昭和54年版1)には出生1,000に対する率として示すことと勧告されている。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.