臨床医のプライマリ・ケア 産科診療における偶発合併症対策
妊娠継続の判断基準と継続後の具体的ケア—腎疾患を合併しているとき
松浦 俊平
1
Shumpei Matsuura
1
1京都大学医学部婦人科産科学教室
pp.676-678
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206681
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妊娠時の腎疾患合併は妊娠中毒症罹患の頻度が高いことを含め,母児の予後とくに児の予後に著しい影響を及ぼすためプライマリ・ケアが問題となる。
妊婦の初診時あるいは妊娠の前半期に,蛋白尿,高血圧,尿円柱の存在などから腎疾患の合併が見出された場合は,妊娠を継続することによって腎疾患自体が悪化しないか,妊娠の予後に対する影響はどうか,また妊娠を継続するとしてもどの程度のcareを要することになるのか,などを総合して継続か中継かの判断をしなければならない。継続と判断した場合でも,妊娠経過中に症状が重症化してやむえず断念しなければならないことも起こりうる。さらに近年では,透析と腎移植が比較的安全に行なわれるようになって慢性腎疾患患者の予後が改善されたため,ますますこれらの判断についても複雑なものとなってきている。
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