薬の臨床
切迫流産等の初期異常妊娠におけるhPLとE3−16—G—高感度ラテックス凝集反応による血清hPLの測定
坂井 千秋
1
,
大森 研二
1
,
本庄 英雄
1
,
岡田 弘二
1
Chiaki Sakai
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.647-650
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206678
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妊娠中胎盤は,物質通過,交換機能,代謝および産生機能などの機能をもち,胎児の生命,発育に重責をなしている。このような意味において,近年胎盤機能検査が,重要視されるようになってきた。このうち胎盤自体の検査法の代表的なものの一つとして,血中hPL値の測定がある。また,胎児胎盤系の検査法としては,尿中エストロゲン値の測定が,その代表としてあげられる。
hPL (Human Placental Lactogen,hCS=Human Chorionic Somatomammotropin)は,胎盤のsyncytio—trophoblastで産生,分泌されるホルモンである。体内半減期が非常に短く,10分から30分以内と言われ,胎盤機能によってその値が変動するため,胎盤機能を知る有力な一つの指標とされている1)。妊娠後半においてはその測定が,最近汎用されてきたが,妊娠初期においても,異常妊娠とくに切迫流産,絨毛性疾患などの診断,予後判定についての有用性の報告が散見されるようになってきた2〜4)。これは,hPLの測定法自体の進歩によるもので,以前はRIA5),HAR6),HAIR7)などが用いられたが,最近ラテックス凝集反応(スライド法)が開発され,今回さらに高感度のラテックス凝集反応も開発されたため,その簡便,迅速さのために,初期異常妊娠におけるhPLの測定もこれから盛んに行なわれ,日常臨床に役立つものと思われる。
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