今月の臨床 胎児診断—テクニックと評価
生化学検査
21.E3,hPL
矢内原 巧
1
,
田原 隆三
1
Takumi Yanaihara
1
,
Ryuzo Tahara
1
1昭和大学医学部産科婦人科学教室
pp.826-828
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904952
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胎児は胎盤を介して母体に生命維持や発育に必要な呼吸作用,物質代謝など全てを依存している。従って胎盤の機能は母体内胎児の状態と密接な関係をもち,その機能を知ることは周産期の胎児管理上きわめて大切である。胎盤ないし胎児機能検査法は大きく①胎児の発育成熟度と機能検査,②胎盤自体の機能検査,③胎児・胎盤系の機能検査,の3つに分けられる。しかしこれらの検査法は完全に分けることはできず,また単一の検査法で知り得る情報には限度がある。従って各種の検査法による総合的な評価が大切である。本稿では胎児のviabilityと最も関連の深いestriol(E3)およびhuman placental lactogen(hPL)測定について述べる。
妊娠により著増する,蛋白およびステロイドホルモンは,いずれも胎盤で産生される。このうち蛋白性ホルモンは胎児の関与なく主に胎盤で産生されるため,胎盤の機能検査法として測定される。一方ステロイドホルモンは,胎児または母体よりの前駆物質を材料として生成される。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.