臨床メモ
破水の新しい診断法
貝原 学
1
1東京大学付属分院,産婦人科
pp.725
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206319
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日常診療上しばしばみられる前期破水はきわめて重要な種々の問題を有している。特に問題となるのは破水後に発生する子宮内感染が児に及ぼす影響で,破水から分娩までに要する時間が長びくほど,児の罹病率や死亡率が増加することである。したがって,破水後には早期に適切な処置を行なうことが大切であるが,そのためには破水の有無を正確に診断することが必要である。しかし破水の診断は,予想以上にむずかしいことはわれわれがしばしば経験するところであり,よりよい診断法の開発が望まれてきた。
従来より破水の診断法として種々の方法が用いられてきた。すなわちbrom thymol blue (BTB)やnitra—zineによって分泌物のpHを測定する方法,羊歯状結晶を証明する方法,acholest試験紙によって羊水中のcholinesteraseを証明する方法,胎児の毳毛あるいは脂肪球を証明する方法などである。しかしこれらの方法は,特に破水後長い時間が経過しているような症例に対しては無力となる場合が多い。
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