Modern Therapy 産科劇症の治療
妊婦の急性腹症
森川 肇
1
Hajime Morikawa
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.55-63
発行日 1980年1月10日
Published Date 1980/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206179
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急性腹症とは,激烈な腹痛のために緊急手術を必要とする疾患群をさす。しかし臨床上は,類似の症状を示すが,手術を必要としない疾患もあり,これらも考慮に入れて診断,治療にあたるべきであろう。
ところで,性成熟期の婦人が腹痛を訴えたなら,まず最初にその女性が妊娠しているかどうかを判断せねばならない。とくに,妊娠の診断をつけにくい,無月経の期間が短い症例では慎重に妊娠の存否を診断し,ついで,腹痛の原因が妊娠の異常に由来するものか,あるいは,妊娠以外の腹部異常によるものかを鑑別する必要がある。妊娠の異常による腹痛については他の項で述べられているので,ここでは,妊娠の診断がすでについていて,かつ妊娠の異常によらない急性腹症を示す疾患につき述べる。
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