新しい視点をさぐる 手術のBlind Spots
合併症を持つ婦人の手術
藤原 敏郎
1
,
余村 和歌子
1
,
林 知節
1
,
林 道治
1
Toshiro Fujiwara
1
1天理よろづ相談所病院産婦人科
pp.423-428
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205847
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われわれが過去1年間に行なった手術300例あまりのうち40数例になんらかの合併症があった。ASD+AFのため断念した1例のほかはすべて計画どおりの手術を行なったが,原則的には緊急の場合を除き,術前に合併症を改善しておくべきである。われわれが経験した合併症のうち最も多いのは貧血であり,高血圧,糖尿病も多くそのほか呼吸器系では気管支喘息,慢性気管支炎,結核があり,肝障害として慢性肝炎,血清肝炎,薬物性肝炎,心疾患としてM・S,そのほかには子宮頸癌と尿路系の結核の合併をみた。このほかにも腎機能障害や甲状腺副腎皮質などの疾患があり,さらには偶発的な胃癌や胆石を時に経験する。いずれにしても手術を要する婦人科患者の約10%には何らかの合併症が考えられるが,婦人科の手術としては外科ほどには侵襲の大きい緊急手術が少なく,術前に十分controlできることの多いのは幸いである。
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