新しい視点をさぐる 臨床検査のBlind Spots
癌の細胞診
野田 定
1
Sadamu Noda
1
1大阪府立成人病センター
pp.246-248
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205801
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1928年,Papanicolaouによって発表された細胞診は,臨床的に簡単に行ないうること,診断精度が極めて高いことから癌診断,特に子宮癌診断の有力な方法として今日広く普及している。しかし,婦人科細胞診は,子宮腔内,子宮頸管内,子宮腟部,腟壁,外陰部,まれに卵管,卵巣から自然に,または人工的に剥離する細胞を採取し,スライドグラス上に塗抹,固定,染色して後,顕微鏡でその細胞の形態を観察し,良悪を判定する方法であるため,組織としての配列,構造などが不明のうえ,細胞採取から標本作製,鏡検判定に至るまでの一連の操作で何か不適当な処理が発生すると,スミア中の細胞はたちまち正しい原病巣の性格を伝えず,いわゆるfalse negative,false positiveを生じこれが細胞診の盲点とされることがある。
そこでどのようなことに注意すれば盲点のない正しい癌の細胞診が行なえるのかを具体的に列記する。
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