特集 不妊診療をめぐる最近の進歩
不妊と感染症について
吉田 茂子
1
Shigeko Yoshida
1
1東京女子医科大学産科婦人科学
pp.867-871
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205690
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不妊の原因として,生殖器系路の感染および治癒後の後遺症のために不妊症となる割合は比較的多い。従来感染症の起炎菌として第1にあげられていた結核菌や淋菌は化学療法の進歩によって激減し,その起炎菌も移り変わり,感染の病態像も大きく変貌しつつある。
近代医学の進歩は,さらに未知のVirusや微生物の分離培養を可能とし,今まで原因不明とされていた疾病から分離され,その病因が次第に明らかにされてきた。そのなかで新しい感染症としてマイコプラズマ(Myと略す)が分離され,マイコプラズマ肺炎の病原体としてMy.pneumoniaが確立された。泌尿生殖器系路から分離されるMyについては,My.fermentans,My.hominis,T-strains of My.があげられているが,後2者が主でとくにT-Myは原因不明の原発不妊患者や,流・早産などのhigh risk pregnancyの患者から高率に分離され,これが不妊や生殖障害に関与しているのではなかろうかという報告が相次ぎ,にわかに注目されてきたが,いまだその病原性については確立されてはいない。
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