疾患の病態と治療 転移
転移の診断—転移性肺腫瘍のX線診断から
河野 通雄
1
,
松本 寿之介
1
,
木村 修治
1
Michio Kono
1
1神戸大学医学部放射線医学教室
pp.489-497
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205632
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悪性腫瘍の肺転移は多彩なX線像を呈し,原発臓器または組織型別による肺転移像の特徴所見を断定することはきわめて困難である。しかし原発臓器別に肺転移像を分類しようとする試みは続けられており,今日まで数多くの報告がある1〜6)。
転移性肺腫瘍のX線像は悪性腫瘍細胞が腫瘤としてみとめられる結節影をとる場合と,血管,気管支周囲,小葉隔壁,臓側胸膜などのリンパ管の中に浸潤した,いわゆる癌性リンパ管症7)を示す線状影や不整な索状影を呈する場合とに分けられている。結節影と一言にいっても,粟粒大より手拳大以上のものまで,また数も単発性より無数にみられるものまでさまざまである。腫瘤影の境界,辺縁に関しては膨張性の増大傾向を示す境界鮮明で,辺縁整またはnotch signを示すものと,浸潤性の進展様式を示す境界不鮮明で,spiculationを示すものとがある。
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