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両側卵巣摘除婦人に心筋梗塞は必ずしも多くない
広井 正彦
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1山形大学医学部産科婦人科学
pp.481
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205630
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従来より50歳以下で冠動脈硬化による心筋梗塞をきたすのは女性に比して男性が多く,また,女性でも若いうちに卵巣を摘除された婦人での心筋梗塞をみる頻度が高いとされていた。そのために去勢した婦人では老化を防いだり,心筋梗塞を予防するために結合型エストロゲンを長期間投与することが広く行なわれてきた。このように成熟した婦人では冠循環障害による心疾患になりにくいことより,卵巣から分泌される性ホルモンがなんらかの型で心筋梗塞を起こさないような働きをしていると考えられてきている。
しかし,Ritterbrandら1),Man—chesterら2)はこの点を詳細に検討するために,若いうちに両側卵巣摘除のみをうけたものなど多数例を調査し,女性ホルモンの冠動脈硬化による心筋梗塞の予防作用に疑問を報告している。また,Winkelsteinら3)は更年期の時期に心筋梗塞になる者がとくに多くなることはないと,従来の考えに否定的なデーターを報告している。この点につき最近Blancら4)は1971年5月より1974年10月までの期間に,心筋梗塞をきたして入院した男223人,女146例について調査した。とくに女子146例中42例はデーターが不完全のために除外し,104例を分析した。年齢は21〜59歳まであり,平均47.2±6.04(S.D)であった。
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