トピックス
更年期以後および両側卵巣摘出婦人の性的障害にホルモン療法を
広井 正彦
1
1山形大学医学部産科婦人科
pp.692
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206876
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更年期になると性欲や性反応が低下することが知られ,これらの患者の半数ぐらいがイギリスでは更年期外来に受診するとされている1)。
この原因に関しては更年期にみる内分泌の変化につれて心理的な変化が起こり,これらが性欲や性反応を減退せしめると考えられて来た.しかし,これらの反応が必ずしも直接に卵巣から分泌されるestrogen や androgenに関係しているとの証左はない。estrogenを投与したcontrol群では,血管運動神経障害の改善や,腟の乾燥化から湿潤さをとりもどし,全身的にはかなりの改善がみられるが,性欲には余り改善がみられないとされて来た2)。しかし,Van Keepら3)はestrogenの減少が血管運動神経系の不安定と性交痛などの間接的な影響により性欲を減退させる素因となるとした。これに関してMaozら4)は,経口estrogen剤を与えるとのぼせや抑うつ的な症状を直すと同時に性交時の疼痛を減少させ,正常の性的能力を促進させ満足させることに成功した。またStuddら5)は抱合型estrogen療法は萎縮性腟炎による性交痛をもった婦人にのみ性的満足さを改善することが出来るが,性欲の消失した機能障害の婦人には余り効果がなかった。これに反し,estradiol 50mgとtes-tosterone 100mgの両性ホルモンの移植により,性欲の消失した婦人の80%に有意に改善したと報告している。
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