特集 先天異常の胎内診断
血清および羊水蛋白による胎児異常の診断
多田 正毅
1
Masaki Tada
1
1東京医科大学産婦人科学教室
pp.1021-1027
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205534
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出生前診断に羊水情報が用いられるようになって以来,胎児の発育や異常がある程度胎内で診断されるようになったのは最近の進歩である。その中でも胎児性蛋白としてα—fetoprotein (AFP)はBergstrand (1956)により胎児血清中にその存在が見出されて以来,妊娠血清中はもとより,非妊時の原発性肝癌や胎児性癌患者血清中にもこれが見出されており,胎児の病態だけでなく癌研究にもその応用性が認められるようになり,実に数多くの業績が発表されている。AFPは,胎児肝とYolk sacで合成されるが(Gitlin 1970),胎性4〜6週の胎児血中にAFPがすでに出現するという(Abelev,Gitlin 1966)。産科領域でのAFPの臨床診断応用で,妊娠中AFPが母体血清と羊水中に移行し増量することがみいだされて以来(Seppäläet al.1972),AFPによる胎内診断価値が増してきた。ことにその測定法が一元免疫拡散法からラジオアイソトープ(RIA)の応用へと移りかわったことにより,血清中のAFPの微量定量が可能となったのがさらに応用面を拡大したといえよう(Chayvialle et al.1973)。ことに神経管欠損症の診断に有効であることがみいだされた(Brock etal. 1973,Chaube et al. 1975)。
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