特集 産婦人科内分泌異常症候群
Ⅲ.General Adaptation Syndrome (汎適応症候群)
行木 康夫
1
,
土屋 雅春
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
pp.930-934
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205517
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汎適応症候群を理解しその意義を知るためには,まずある視点を容認することが必要である。この概念は病気に対する一つの考え方を示したことからはじまっている。特異的な器質疾患から派生する非特異的症候群や反応性症候群を重視することである。分析方法は医学進歩の重要な要因であり,現代では化学機器や技術の進歩により微量定量が可能となって診断と治療に利している。しかし,一方で臨床医はなお病因的にも治療的にも不明の病態に出合うことが多い。例として適切な診断の下に手術が行なわれたにもかかわらず,ショック,血管内凝固症候群,無尿等の術後症候群をきたす事実を指摘できよう。
汎適応症候群は疾患を総括的に把握せんとする一つの学説としてその存在理由があり,機能異常からひき起こされる器質疾患群,さらに精神身体医学等へと連なる医学の思潮でもある1)。感染症において,感染菌とともに生体の感染成立のための条件が問題となることと軌を一にしている。
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