特集 産婦人科内分泌異常症候群
Ⅱ.臓器別にみた症候群
B.視床下部下垂体性異常に関するもの
Sheehan症候群
高橋 克幸
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.903-905
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205510
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定義
分娩後に下垂体前葉の壊死によっておこる下垂体機能障害および二次的にこれらの標的内分泌腺の機能が障害されておこる病的状態をSheehan症候群あるいはSimmonds-Sheehan症候群と呼んでいる。Sheehanは下垂体の中等度以上の壊死をおこす原因疾患として,分娩後出血と稽留胎盤などが多いとしているが,その他分娩前出血群,ショック,帝切などもSheehan症候群の原因となることがしばしばあると報告している1)。
下垂体よりgonadotropinを放出させるLH-RHが合成され,実地臨床面で下垂体疾患の診断や治療に用いられるようになったので,既往歴や症状などから比較的容易に診断できるSheehan症候群も,科学的に疾患の軽重度や時には潜在時に早期診断することも可能になった。下垂体壊死は組織の再生が不可能なので,今後は潜在時に発見する方向で本疾患が検討され,早期に治療されることが期待される。
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