特集 産婦人科内分泌異常症候群
Ⅱ.臓器別にみた症候群
B.視床下部下垂体性異常に関するもの
更年期障害症候群
森 一郎
1
1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室
pp.898-900
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205508
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定義
成熟婦人の性機能は,大脳皮質(環境刺激→心因)—視床下部(情動・自律神経・内分泌中枢)—下垂体—末梢内分泌臓器—標的臓器相互間の密接な関係で調和が保たれているが(図1),更年期(著者は一応37〜55歳頃と考えている)になると,これらの諸臓器の機能には加齢に伴う変化が起こり性腺機能を中心に内分泌環境は一変してくる。
すなわち,今日までのわれわれの検索の結果では,更年期になるにつれ,卵巣ではgonadotropin(G)のとりこみがしだいに悪くなり,C-AMPは低下し,estradiol (E2)産生の低下,testosterone(T)産生の亢進,progesterone (P)産生の低下へと変わるが,steroid hormone (SH)のこのような傾向は,更年期障害(更障)不定愁訴群の血中所見ではさらに著明になっている。一方,視床下部—下垂体系のGの産生分泌能は,上述の卵巣の変化を反映してか急激に亢進し,閉経からこの傾向が著明になり(更障不定愁訴群ではとくに著明),70歳位までこれが続く。LHとFSHの増加率は,はじめは前者,あとからは後者が高率となっている。
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