特集 産婦人科の治療その限界と展望
日常臨床上よくぶつかる頑症疾患の治療の限界
婦人科
更年期障害
森 一郎
1
Ichiro Mori
1
1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室
pp.1097-1099
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204727
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婦人では,成熟期から老年期への移行期,いわゆる更年期という生理的過程で,女性としての主役を演ずる性腺機能が一般に急激に衰退しがちであるので,ほとんどのものが心身に失調を感ずるようになる。だが多くのものはこれに堪え日常の生活をしている。ところがなかには,日常の生活に堪えられなくなり,医治を乞うようになるものもある。われわれは,この後者の,失調のひどいものを更年期障害と考えている。
すなわち本症は,病因があるのではなく,一種の適応不全といつてもよいものであるから,治療としては,よほどひどい症状の場合でも,対症療法で症状を緩和させ,時間を待てば,そのうち自然に軽快するもので,治りにくいとか,あるいは治療に限界があるとか,そのような難症の概念に本質的にはいれられるべきものではないと考えている。
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