特集 症状からつかむ私の治療指針
婦人科
更年期障害
森 一郎
1
,
西村 哲一
1
1鹿児島大産婦人科
pp.913-914
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204918
- 有料閲覧
- 文献概要
婦人の性腺機能は,大脳皮質(心因)—視床下部(情動,自律神経や内分泌機能の上位機構)—下垂体—末梢内分泌系—標的臓器間の密接な関係で調和が保たれているが,加齢すなわち更年期になると,これらの諸臓器の機能は減退してくるので,当然,心因性反応,自律神経機能,内分泌機能などに変化が起こり,不定愁訴や異常な性器出血,その他をみるようになるが,われわれは,このような変化を37〜55歳でより多く認めている。したがつてわれわれは,この間を一応更年期と考え,この間で上述のような変化が異常となつたもので,日常生活に支障がない,すなわち受診しなくてもよい程度を更年期失調,日常生活に支障がある,すなわち受診するような場合を更年期障害と考えている。
更年期障害のうち,異常な子宮出血などのような内分泌系失調は,婦人は次第に,閉経あるいは卵巣機能の終止へと移行するので,それほど問題とならないが,不定愁訴は,頻度も高率で,期間も長く,またその程度も劇しいものが少なくない。それで以下,この不定愁訴群についてわれわれの治療方針を述べてみる。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.