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特集 母乳育児を援助する
海外文献紹介
産褥乳腺炎:その原因・予防・管理
Puerperal Mastitis: Causes, Prevention, and Management
内山 芳子
1
Janet Bostrom
,
Helen Gordon
1聖路加看護大学
pp.601-606
発行日 1984年7月25日
Published Date 1984/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206486
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乳房の感染症は,病理学的にみて,母乳授乳に悪影響をもたらす。授乳期の乳腺炎には,基本的に,亜臨床的(サプクリニカル)乳腺炎,急性産褥乳腺炎(蜂窩織炎・腺炎),化膿性乳腺炎,非一般微生物による乳房の感染症,乳房腫瘍におけるウイルス感染症の5つのタイプがあり,最初の3つのタイプが高頻度にみられる。乳腺炎患者は,発熱・頻脈とともに,片側もしくは両側乳房の熱感・発赤・圧痛等の症状を呈する。最も激しい症状を示すのは化膿性乳腺炎で,このケースでは乳房に膿瘍が形成されるのをはっきり確認できる。乳頭の外傷,乳房の緊満が乳腺炎の誘因と考えられている。乳頭の外傷によって亀裂が生じ,そこから乳房の結合組織のなかに細菌が侵入して急性蜂窩織炎を起こしたり,乳房の緊満によって乳汁のうっ滞,乳管閉塞が生じ,急性乳腺炎が発症しやすい環境を作り出すわけである。助産婦は,乳腺炎の予防とその早期発見に積極的に関わらなければならない。予防対策としては,用手搾乳・乳房マッサージの指導,早期からの自由な哺乳の奨励,乳頭外傷・乳房緊満を起こしやすい母親の判別,感染の徴候や症状についての指導,支援者および情報源の明確化,産褥クリニック早期受診の計画などがあげられよう。乳腺炎に対する処置としては,安静を守り,経口水分摂取量を増やし,体温の監視を行ない,母乳授乳を継続するか,乳房帯や氷のうを貼用して授乳をとめる。
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